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ほどけた夏

パラパラと

手の上で 解ける

此の 夏




夕立が無くなった。
終わる夏。
何時の間にか朝晩は涼しくなって、夏が終わる。
少しだけ寂しい。
否、夏に名残惜しさなんて無いけれど。
寧ろ、夏なんて嫌いだけれど。

十五夜なんて言ったら、もう、秋。

夏が終わる。


「夏の終わりって、寂しいよね」

そう言ったのは昔の恋人。
大して長く付き合った訳ではないけれど、短くもなかった。
今思えば、彼女と付き合い始めたのは初夏の一歩前で、
別れたのは此の時季だったっけ。


頭の中に、某男性歌手が歌う『夏の終わり』が流れた。

もう、一足遅い其の歌。
何処か郷愁を思わせるメロディー。

空は、天高く と称された秋そのもの。
詰り、真っ青。
深い、高い、青。


思い出と一緒に、夏が終わる。
パラパラと解ける夏。
此れを何て言ったらいいのか、解らない。
夏の終わり、としか表現出来ないのが少し、情けない。

解けていくように、跡形も無くなる夏。



ほどける ほどけて ほどけた

此の 夏

そして また

次の 夏の為に

ほどけた夏を 結ぶ



050920
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